東南アジアの医療機器市場の難しさ【導入編】

 


さて、前回は東南アジアの医療機器市場は魅力がたくさんあるよっていう話をしたのですが、当然ながら困難さもたくさんあります。そういった困難さも同時に説明する事で多面的な情報を提供するため今回の記事を書いてみる事にしました。


【ビジネスを始めるまで】

自分自身の資本でビジネスをすることが制限されている
外国企業が法人を設立することが制限されていたり、資本金を一定以上積まないと外国人だけの資本の法人は設立できない。シンガポール、ベトナム、マレーシア、カンボジアは外資法人の設立が可能。設立が可能な場合もシンガポール、マレーシア等ではLocal directorと呼ばれる国民、永住者で居住している人を代表として置く必要があります。

各国ごとに製品の承認が違うため、非効率
前回は製品の承認基準等がASEANで統一される予定ということを書きましたが、詳細に書いてあるように実際はそのプロセスとしてはまだまだ発展途上です。そうするとやはり一ヶ国毎にそれぞれの承認プロセスに合わせて書類を準備してという労力が必要になります。一ヶ国ごとの市場規模を考えた時に一個一個承認プロセスに投資をしてようやく発売してということをしているとどうしても非効率になってしまいます

パートナー選びの難しさ
上記の課題を解決する方法としては現地にパートナー企業を探す事ですが、そのパートナー探しでもさらに課題があります。こちらのIGPIの資料の12ページ目に大変丁寧に書いてありますが、データーベースがしっかりある訳でもなく、土地勘もない中でパートナーを選ぶ必要があります。コロナウイルスによって国の間での行き来が難しい中、一次情報を集め判断し、必要な契約を持って目的を実行することは様々なスキルやネットワークが必要になってくるでしょう。

話を簡略化するために一番軽いパートナーシップである代理店契約を下記の前提に書いていきます。


【ビジネスを始めてから】

さて、様々なハードルを乗り越えて実際にビジネスを始めたとしてもきっといくつも問題が生じてくるでしょう。

代理店の戦略、注力不足
主にパートナーになる企業は代理店と呼ばれる企業ですが、数多くの製品を取り扱っている特性上、御社だけの製品に注力してもらえる事は考えにくいです。また、多くの代理店は自分から戦略を考えて実施してくれる事は少なく、メーカー側がイニシアティブを握る必要があるでしょう。とは言っても、自社と多くの場合資本関係があるわけではなく、なかなかコントロールする事は難しいでしょう。一番簡単な事はリベート等を払う事ですが、そうすると利益率を圧迫するため、価格を維持し利益率を維持しつつ、かつ自分たちがコントロールできるわけではないチームを動かし売上を上げていくという困難な仕事が求められます。

代理店からの情報公開不足
代理店からすると常に代理店を中抜きして直接ビジネスを始められるリスクを感じています。すると、エンドユーザーの情報、売買価格などなど様々な情報を開示することに関して非常に消極的になります。もちろん信頼関係を築くことができれば情報公開はしてくると思いますが、それでも基本的には自分たちが立ち上げた製品のビジネスを守っていくため非常に情報公開のハードルは高くなることが多いでしょう。結果、メーカー側からするとビジネスを伸ばすために手伝いたくても情報が十分なくて手伝えないという状況が起きます。

変化の多い環境
特にコロナウイルス以降ですが、週単位で様々な規制が変化するため現場にいないと中々その感覚を理解することは難しく、環境の変化についていく事はもちろん理解する事も難しくなります。ただ政府発表を見るだけであれば、インターネット上でも可能ですが、それ以上に現場でどう解釈していくのかを理解する必要があり、リモートでのハードルは高いです。

定期的な監査や免許更新の手続き
ヘルスケア事業は多くの場合、国からの免許をもらってビジネスをしている事が多いです。代理店に完全外注している場合は良いですが、製品の承認だけ自社で持っている場合等は自分自身で定期的に政府に必要な書類や監査の報告をしてビジネスを継続させていく必要があります。こういった様々な事務手続きも以外と工数がかかってきます。

と色々と困難さを挙げてみましたが、次回はどういった市場進出方法があるのかという洗い出しとその選択方法について書いていく予定です。

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